最近、青い色のペンで勉強すると記憶に残りやすいので覚えやすいのでよい、と書いてあるのを読みました。
昔聞いたことがあるので、俗説、都市伝説のように聞いたこともある方もいらっしゃるかかもしれません。
なるべく効率的に勉強をしたいと思いますし、大人になると記憶力も落ちてくるので新しいことを覚えようとしても難しくなってきます。
青ペンを使用した勉強法は、塾で提唱していた勉強法のひとつだったそうです。
眼は脳の情報機関
青のほうが記憶に残るということは考えられるでしょうか。
眼は脳の情報機関としての直接の出張所であり、脳の延長と言えます。
人間が色光を認識出来るのは、眼球内の網膜上に光を感知する視細胞が配置されているからです。
人間の視細胞には、杆体細胞、錐体細胞の二種類があり、杆体は主に暗いところで働き明暗を、錐体は明るいところで働き、色や形の感覚をつかさどります。
視細胞が光情報を感知し、それを電気信号として脳に伝え、脳は単にその視覚情報だけでなく、過去の記憶や他の情報も修飾して映像を脳で構成します。
錐体細胞は三種類あります。
S錐体(青錐体)
S錐体(青錐体)は短波長域、400-500nmの光に感受性を示します。
青錐体は短い波長の光の波に感受性があるということです。
nmは、「ナノメートル」と読み、10億分の1メートル(10-9メートル)、すなわち100万分の1ミリで、波長の単位になります。
光は波の性質があります。波の山から山までの長さを「波長」と呼びますが、光も波長を持っており、波長の単位で表します。
L 錐体(赤錐体)
L錐体(赤錐体)は長波長域、550-650nmの光に感受性を示します。
M錐体 (緑錐体)
M錐体(緑錐体)は中波長域、500-600nmの光に感受性を示します。
青錐体、緑錐体、赤錐体それぞれが感受性のある光に反応しそれぞれの反応の和や差の信号に変換され、様々に修飾され大脳に到達して色を感じます。
色はある周波数範囲の光の周波数を生物が見分けるときに脳が行う処理のひとつであり、色は存在するのではなく、波長の違いを脳が色として見ているといえます。
そのようにして人間の目は、波長にしておおよそ380~780 nmまでの光を見ることができますが、この間に紫(むらさき)から赤までの色が連なっているのです。
プルキンエ現象
そして、この現象をプルキンエ現象と言って、明るいところでは赤、暗いところでは青が鮮やかにみえるとういう現象があります。
錐体と杆体では、最大視感効率をもたらす光の波長が違い、明るいところで見るときは錐体細胞が機能し555 nmの波長に最高感度を示し、暗いところでみるときは桿体細胞が機能し505nmの波長に最高感度を示します。
明るい場所から暗い場所に行くと、機能する視細胞は錐体細胞から桿体細胞に移行してゆくのです。
その為錐体が働いている明るい場所では、長波長域、赤が明るく鮮やかにみえているのに対し、暗くなって杆体が働き出して来ると、短波長域の光に対する感度が相対的に高くなり、青が明るく鮮やかに見えるようになります。
しかし、すっかり暗くなって桿体だけが機能する状態になると色彩は判別しにくくなります。夕方ぐらいの明るさの時(薄明視)にプルキンエ現象をよく感じ取ることができます。
緑と赤の波長は近接していますが、青は短波長で独立しており、薄暗いところでは際立って知覚されると言えます。
これは道路標識が夜間でも見やすいように青色で作るなど、生活の中にも応用されているそうです。
また、写真の識別と記憶は、モノクロ写真の識別や記憶よりも良い成績となると報告されています。
色のついた写真の方が見たときの脳の反応時間ははやいです。
室内なら色のついたペンで、赤よりも青のほうが脳の視覚情報としてはよく伝わり、早く記憶されるかもしれません。
試験の点数が上がるかどうかはわかりませんが、このようなことを意識しながら勉強するのもおもしろいかもしれません。