ストレスがなぜ体に影響を及ぼすのか?
ストレスとは、物体の外側からかけられた圧力によって、歪みが生じた状態を言います。
こころや体にかかる外部からの刺激をストレッサーと言い、ストレッサーに適応しようとして、こころや体に生じたさまざまな反応をストレス反応と言います。
私たちのこころや体に影響を及ぼすストレッサーには、暑さや寒さ、騒音や混雑、公害物質、薬物などもありますが、普段、私たちが「ストレス」と言っているものの多くは、心理・社会的なストレッサーのことを指しているでしょう。
仕事、私生活、環境の変化、対人関係、介護問題、結婚問題、健康問題、更年期障害など、年齢を重ねてライフスタイルによって内容やの量や質も変化していきますが、さまざまなストレスにさらされて生きています。
近年では特にパソコン、スマホの長時間使用による全身、眼に対してのストレスが問題になっています。
ストレスは自律神経に大きな影響が
人間には自律神経と呼ばれる神経があります。
自分の意思とは関係なく外的な刺激や情報に反応し、体の機能をコントロールしている神経の事です。
自律神経失調症という言葉は聞いたことがあると思います。
自律神経には主に興奮に関与する「交感神経」と、それを抑制する「副交感神経」の2つがあります。
この相反する2つの神経が天秤の様にバランスよく働いている事により、心や体の健康を維持してくれていますが、ストレスが原因で交感神経が働き過ぎる状態になり自律神経のバランスが崩れ、健康を維持できなくなります。
自律神経の影響は、眼にも…!
眼では交感神経の働きが活発になると
①瞳孔が大きくなる
②涙の量が少なくなる(涙腺)
③血管が収縮する(細くなる)
④血圧が高くなる
眼では副交感神経の働きが活発になると
①瞳孔が小さくなる
②涙の量が増える(涙腺)
③血管が拡張する(広がる)
④血圧が低くなる
という具合に両神経のバランス状態によって相反する反応が出てきます。
バランスが崩れるといろいろな異常が出てくることがあります。
長期に渡りバランスが崩れる事によって全身的にも様々な病気を引き起こす事があります。
ストレスがかかると交感神経が働き過ぎるようになります。
その結果、心体の恒常性が保てなくなる事により体調に様々な変化を引き起こしたり、
種々の病気の発症に一因となってしまいます。
交感神経が働き過ぎる事だけが問題なのではなく、ストレスが多い為に交感神経ばかりが働いて、それを修復する副交感神経が充分に働けない事が問題と言われています。
ストレスが原因の目の病気や症状は?
眼ではストレスによって眼精疲労、調節生涯、チック、眼瞼痙攣、複視、眼球運動障害、斜視、ドライアイ、緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症などがストレスで起こりえます。
またストレスで高血圧が起こることによって、高血圧性網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、虚血性視神経炎、一過性虚血性眼疾患なども起こりえます。
症状でいうと、視力低下、かすみ、ゆがみ、視野狭窄、だぶって見える、乾く、痛み、目の奥が痛い、などになります。
特にスマホ、パソコンによる眼精疲労、自律神経失調では頭痛や肩こり、首の痛み、立体視が低下、睡眠障害や不眠症の原因にもなります。
また、ストレスによって心身症である心因性視力障害も起こりえますが、主な症状には視力障害、色覚障害、夜盲、視野障害、羞明などがあります。
子供でもストレスで眼に影響が
お子様のばあい、心のストレスから目の異常がないのに視力が低下したり、教科書、黒板が見えなかったり、お稽古事の時に見えない、眼鏡をかけてもみえない、などの症状が出ることがあります。
子供は人間関係にストレスを感じやすいので、両親、兄弟の過干渉、不仲、友人関係、お稽古事の負担などで起こりやすいです。
ストレスがあふれる現代社会
パソコンの長時間使用も含め、もともとはストレスが原因と思われる眼の症状で眼科を受診される方は以前より増えていると思います。
眼科的に治療が必要なもの、できるもの、点眼などでの症状が緩和は病院で対応できますが、ストレスが継続する限り再発のリスクもあり、症状は継続します。
大事なことは元の原因であるストレス自体を早期に察知し、必要に応じて軽減を図ることです。
心身の健康状態をチェックし、ストレスの原因を解決できるように、軽減できるように気を付けて、疲れを取り除くために十分に睡眠をとり、適度な運動を心がけましょう。