学校の視力検査は近視だけ
一般に目がいいかどうか、どのくらいみえているかということは、視力で表現しています。
しかし、視力は見た情報がはっきり取り込まれているかどおうかを表現しているだけで、見るための能力すべてを表現しているわけではありません。
学校で行われているのは5m先のものを見る視力検査です。
この検査では遠くが見づらくなる近視は発見されやすいですが、比較的遠くは見える軽度から中程度の遠視は見落とされやすくなります。
遠視の見え方は?
遠視の人は手元に焦点を合わせるときにピントを合わせる力が近視の人よりも必要になりますが、ピントを合わせる力が弱かったり遠視が強いと手元の字はぼやけて見えてしまいます。
検診では視力1.0でA評価だったけれど、実は手元の教科書はぼやけて見えていない、という可能性があります。
また、目から30cmくらいの近方のものを見る近方視力が悪い場合もあります。
手元が見えづらいと、学校の身体検査では見つからないけれど、教科書は見づらく、読んだり書いたりも困難で苦手、お勉強も読書も好きではない、ということになってくることがあります。
斜視や斜位があっても眼精疲労がつよく、勉強が嫌いな原因になることはあります。
クリニックでは遠くの視力が良くても手元も楽に見えているかどうか、眼位は問題ないかチェックして、無理なく勉強できる状態かかどうか確認するようにしています。
眼球運動機能が原因の場合も
また、視力とは別に眼球運動機能が良くない場合、ゆっくり目を動かしたり早く目をうごかしたり、することが正確にできない場合、文章を読む時に字や行をとばして読んでしますことがあります。
両眼の調節に関係する輻輳機能、両眼を寄せたり離したりする機能も、うまく働かないと物がだぶって見えたり疲れやすくなることがあります。
これら眼の運動能力がうまく働かないと情報を脳に入力する機能が落ちてしまうことになります。
視覚情報処理機能が原因の場合も
視覚情報処理機能には知視覚という図形などを見た形を正しく理解する能力や認識した形を記憶する能力、空間認識能力などがあります。
こういった機能が弱いと読み書きに困難が生じて字がうまく書けないとか読めない、鏡文字を書く、算数の図形問題がわからないなどといった症状が出ます。
また、眼と手の協応がうまくいかないと字が書けないなども問題につながってきます。
このような視覚機能の働きが弱いかどうかを調べるのは専門の施設での検査が必要になります。